当時出会い系サイトの数社のサクラの仕事をしていた自分は、その中の1社がサクラ撲滅のサイトにするという話を聞き、特に気になった3人の連絡先を控えて個人的に連絡を取りました。
3人とも自分が受け持っていたキャラが好きだったので、大好きな人と連絡が取れないまま恋が終わってしまう状況が少し哀れに思えたのです。
3人には同じ文章を送りました。
「あなたが話していた人は作り物のキャラで、実際には存在しないんだよ」という内容だったと思います。
その文章を読んで、2人は理解してくれたようですが、1人の人がどうしても納得してくれませんでした。
「実際に会って話を聞くまではとても信じられない」と言い張るのです。
どうすれば信じてもらえるのかを問うと、「交通費は用意するから、埼玉まできて欲しい」という無茶ぶりが返ってきました。
男性恐怖症の自分はそもそも男性と会うのが怖かったのですが、嫌らしいことは何もしないという契約の元、自分は一泊二日で埼玉へ向かうことになったのです。
埼玉県在中のその男性は、やせ形で、少々いかつい印象がありましたが、心根はすごく優しくいい人だったので、すぐに打ち解けることができました。
移動の車の中でも話は弾み、趣味や埼玉のことをたくさん話していた気がします。
夜はオールでカラオケに行きました。
彼が「倉木麻衣が好き」というので、1人倉木麻衣メドレーしたのを覚えています。
埼玉に行く前に、自宅で録音してもらったCDを聞いて一生懸命覚えた甲斐があったというものです。
埼玉のワイナリーにも行きました。
まさ埼玉産のお酒を飲めるとは夢にも思わず、コップ一杯のワインをグビっと飲み干したものです。
その後、悪酔いしたのは言うまでもありません。
次の日は日高市にある、高麗神社にお参りに行きました。
初めて行った高麗神社の空気は、驚くほどに住んでいて、ずっとそこにいたいという気にさせてくれます。
神社巡りは好きでよくするんですが、あんなに澄んだ気を発する場所は他にありません。
さすが神々が集まる場所だと圧倒されたのを覚えています。
最後に行ったのは、西武園ゆうえんちです。
ジェットコースターや観覧車を乗りました。
観覧者で2人きりになり、隣に座わってキスをされました。
ここまでしてくれる人でしたのですんなり受け入れました。
彼のおかげで、ホントに夢のような時間を過ごさせてもらった後に、彼は上着の内ポケットから出した茶封筒を差し出してきました。
そこには交通費がきっちりと収められていたのです。
ずっと男性は嘘をつくものと思っていたのですが、それは自分の偏見でいい男性もたくさんいるんだなとその時思いました。
今でもその男性とはメールのやり取りを続けています。
